歯科医院のWebサイトや広告に「患者の声」や「体験談」を掲載することは、新規患者の信頼を得るための有効な手段です。しかし、医療分野には独自の規制があり、特に医療広告ガイドラインに従うことが求められます。このコラムでは、医療広告ガイドラインの概要と「患者の声」を安全に掲載する方法について解説します。
医療広告ガイドラインとは?
医療広告ガイドラインは、医療機関が患者に対して適切で正確な情報を提供することを目的としたルールです。このガイドラインは、患者に誤解を与えるような広告表現や不当な優位性をアピールすることを防ぐために設定されており、Webサイトや広告に適用されます。
例えば、治療結果を保証するような表現や、過剰に優れた技術を強調する内容は、患者に誤った期待を抱かせる可能性があるため禁止されています。他にも、特定の治療の効果を過大に評価したり、個別の症例を強調しすぎることが禁止されています。これにより、患者は公平で正確な情報に基づいて歯科医院を選べるようになっています。
※医療広告ガイドラインの違反リスクに関しては、下記をご覧ください。
※厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」は、下記をご覧ください。
「患者の声」の掲載における注意点
原則、患者の体験談を掲載することはできません。
医療法関連法令(医療法施行規則第1条の9第1号)および医療広告ガイドラインにおいて、治療内容や効果に関する主観的な体験談の広告は禁止されています。これは、体験談が個々の患者の状態によって異なり、医療機関への誘引を目的として掲載される場合、読者に誤解を与える可能性があるためです。
たとえ一部を抜粋したり、医療機関にとって有利な内容のみを掲載したりする場合でも、体験談の掲載は認められていません。また、医療機関のスタッフが自身の体験談や患者から聞いた体験談を記載することも禁止されています。
具体的には、以下のいずれかに該当する場合、体験談は掲載できません。(医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)より抜粋)
治療内容や効果に関する体験談
・治療内容または効果に関する体験談を掲載してはならない
治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談の広告をしてはならない。医療広告ガイドラインでは、こうした体験談について、医療機関への誘引を目的として紹介することは、個々の患者の状態等により感想が異なり得るものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められない、とされている。
口コミサイトから転載した口コミ
・口コミサイトより、治療内容または効果に関する体験談に相当する口コミを転載してはならない。
・医療機関にとって有利な口コミを抜粋してウェブサイトに掲載してはならない。
治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談の広告をしてはならない。特に、医療機関にとって便益を与える感想等を取捨選択し掲載するなどして強調することは、虚偽・誇大にあたるため広告できない。
医療機関のスタッフ自身の体験談・スタッフが記載した患者等の体験談
・医療機関スタッフ自身の体験談であっても、患者等が記載した体験談と同様に認められない。
・医療機関スタッフが患者等の体験内容を代わりに記載した場合であっても、患者等が記載した体験談と同様に認められない。
治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談の広告をしてはならない。医療広告ガイドラインでは、こうした体験談について、医療機関への誘引を目的として紹介することは、個々の患者の状態等により感想が異なり得るものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められない、とされており、患者等ではなく医療機関のスタッフ等が記載した体験談であっても規制の対象となる。
医療機関の検索が可能なウェブサイトに掲載された体験談の編集依頼
・医療機関からの依頼により、口コミサイトの運営者が体験談の内容の改編や削除をしてはならない。
医療機関の検索が可能なウェブサイトに掲載された体験談については、医療機関からの影響を受けずに患者やその家族が行う推薦に留まる限りは、誘引性は生じず、医療広告に該当しない。
しかし、医療機関からの依頼によって、当該ウェブサイトの運営者が、体験談の内容を改編したり、否定的な体験談を削除したり、又は肯定的な体験談を優先的に上部に表示するなど体験談を医療機関の有利に編集している場合は、医療広告に該当し、禁止される広告(患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談)となる。
ただし、当該体験談が名誉毀損等の不法行為に当たる場合は、医療機関による削除等の依頼は医療法違反には当たらない。
患者の直筆アンケートを加工・転載した体験談
・患者からの直筆アンケートを写真やPDFで転載する形で、治療内容または効果に関する体験談を掲載してはならない。
治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談の広告をしてはならない。医療広告ガイドラインでは、こうした体験談について、医療機関への誘引を目的として紹介することは、個々の患者の状態等により感想が異なり得るものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められない、とされており、患者の直筆アンケートを、画像トリミングやPDF化等の手法で加工・転載された体験談も、規制の対象となる。
患者の主訴として記載された体験談
・医師による症例紹介の中で、あたかも患者の主訴・治療内容の解説等のように、患者の主観に
よる治療内容または効果に関する体験談が掲載してはならない。
治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談の広告をしてはならない。医療広告ガイドラインでは、こうした体験談について、医療機関への誘引を目的として紹介することは、個々の患者の状態等により感想が異なり得るものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められない、とされており、とある患者の主訴として記載された体験談であっても、規制の対象となる。
適切な「患者の声」の活用方法
治療内容や効果を具体的に語った体験談は医療広告ガイドラインに違反するため掲載できませんが、医院全体の雰囲気やサービスについての感想は問題なく使えます。
「患者の声」を収集する際は、治療内容に言及するのではなく、医院の雰囲気やスタッフの対応など、患者が感じた安心感や信頼感にフォーカスした感想を掲載しましょう。
例えば、次のような体験談は掲載できます。
「先生がとても親切で、安心して治療を受けられました」
治療内容には触れていないものの、医院の信頼性やスタッフの対応の良さを伝えることができます。
「医院が清潔で、落ち着いた雰囲気でした」
これは医院の雰囲気に対する感想であり、治療効果に触れないため、ガイドライン違反にはなりません。
一方で、過度な比較や誇張表現は避けましょう。例えば、「他の医院より圧倒的に清潔」や「他の先生より親切」といった表現は虚偽や誇大広告とみなされる可能性があるため、使用しないように気をつける必要があります。
こうしたポイントを守ることで、ガイドラインに準拠した形で「患者の声」を活用し、医院の魅力を効果的に伝えることができます。
まとめ
医療広告ガイドラインを遵守することは、歯科医院が患者に対して信頼を築くために不可欠です。「患者の声」を効果的に活用しながらも、規制に則った形で掲載することで、医院の信頼性を高めることができます。体験談の内容や表現に十分注意し、適切な形で患者の声を届けることが、Webサイトの成功につながるでしょう。
「患者の声」をもっと効果的に活用したい方へ
「患者の声」を最大限に活かすために、Google口コミを活用するのがおすすめです。
患者が自主的に投稿するGoogle口コミは、医療機関が関与しないため医療広告ガイドラインの規制対象外となります。しかし、実際には悪い口コミが目立つことが多いのが現状です。
そこで、医院からの依頼で患者にGoogle口コミを投稿してもらう方法も考えられますが、この場合、投稿内容は医療広告として扱われ、規制対象となります。また、感想の取捨選択や報酬を提供しての誘導は、虚偽・誇大広告にあたるリスクがあり、医療法違反になる可能性があります。
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